睡眠課題は健康や生産性の低下につながる深刻な課題とされている中、沖電気工業株式会社(以下、OKI)が開発した行動変容理論を取り入れた睡眠習慣改善アプリ「Wellbit®️ Sleep」が注目を集めています。
本記事では、OKIの商品担当者のお二人に製品の特徴や開発背景を伺い、Wellbit Sleepについて紹介していきます。

佐藤 綾乃(さとう あやの)さん
沖電気工業株式会社 グローバルマーケティングセンター
イノベーションビジネス開発部
ヘルスケア・医療チーム

松尾 樹(まつお いつき)さん
沖電気工業株式会社 グローバルマーケティングセンター
イノベーションビジネス開発部
ヘルスケア・医療チーム 臨床心理士・公認心理師
──本日はよろしくお願いします。まず、「Wellbit Sleep」とはどのようなサービスなのか教えていただけますか?
松尾:よろしくお願いします。「Wellbit Sleep」は、行動変容理論に基づいて睡眠課題を改善するためのアプリケーションです。OKIでは以前から「Wellbit」という行動変容プラットフォームを展開しており、その睡眠特化版が「Wellbit Sleep」です。具体的には、利用者の睡眠データや属性データに基づき、個人の睡眠状況に合った行動アドバイスのメッセージで、健康的な睡眠習慣をサポートします。

佐藤:行動変容理論というのは、人の意識や行動のステージを前熟考期から維持期まで5段階に分け、それぞれに適したアプローチを行う方法論です。この理論を基に、利用者に必要なきっかけやメッセージを届け、行動の変容を促します。

──なるほど。それぞれの段階に合わせたサポートが可能なんですね。では、このアプリが解決を目指す具体的な課題について教えてください。
佐藤:日本では3人に1人が十分な睡眠を取れていないと言われています。さらに、睡眠課題を抱えながらも病院にかかっていない方は約2,200万人いるといわれています。「Wellbit Sleep」では、こうした睡眠課題を改善し、生産性の向上やメンタルヘルス不調の予防を実現することを目指しています。
松尾:睡眠習慣の改善を通じて、睡眠の量、質、リズムを改善することが可能です。このアプリを使用することで、アプリ使用前に睡眠に課題があると答えた人の約70%がアプリ使用後に課題が改善されたと感じています。
──70%というとかなり大きな数字ですね。具体的にどのように睡眠を改善していくのですか?
松尾:利用者には、日々の睡眠習慣をアプリに記録していただきます。例えば、「布団に入った時間」「眠るまでにかかった時間」「夜中に目が覚めた回数」などを入力します。データの記録は手動で行う仕様になっており、手動で記録することで、自分自身の睡眠を振り返り、「気づき」を得られるようにしています。
──なるほど。毎日入力することを通して、睡眠への振り返りもできるんですね。
松尾:そうですね。毎日記録していただくことで、睡眠と向き合うことが可能であると考えます。また、利用者の睡眠改善や生活習慣に合わせて、アプリからメッセージが送られる仕組みです。
たとえば、「朝日光を浴びると、体内時計がリセットされて眠くなるタイミングが決まります」「夜間にスマートフォンを見ると睡眠のリズムが乱れるので、時間を決めて使用しましょう」といった、科学的根拠に基づくアドバイスをお届けします。これにより、利用者が無理なく行動を改善できるようサポートしています。

──ありがとうございます。アプリの利用による効果について、もう少し具体的に教えていただけますか?
松尾:「Wellbit Sleep」は京都大学・ヘルステック研究所と共同で開発されており、その効果を検証するための臨床試験も行っています。たとえば、臨床試験では全被験者、不眠症群、いずれのワーカーも不眠重症度を表す得点が優位に改善しました。また、OKIの社内で実施した実証実験では、生産性を示す指標が0.8%向上するという結果も得られました。
──睡眠不足や質の低下が生活に与える影響については、どのようにお考えですか?
松尾:睡眠課題は生活全般にさまざまな悪影響を及ぼす要因になると考えます。たとえば、集中力の低下や慢性的な頭痛、肩こりなどの身体的症状が挙げられます。また、ストレスを感じやすくなり、精神的にも不安定になり、仕事の生産性が下がる「プレゼンティーイズム」の一因ともなります。こうした問題を解決するためにも、睡眠習慣の改善が重要です。
──最後に、「Wellbit Sleep」をどのような人に利用してもらいたいですか?
松尾:広く一般の方に使っていただきたいと考えています。特に、「睡眠を改善したいけど、何をすればいいかわからない」と感じている方におすすめです。現時点では企業向けの提供のみとなっていますが、今後は個人向けにも展開していきたいと思っています。「Wellbit Sleep」を通じて、一人でも多くの方が睡眠の課題を解決できるよう努めていきます。
──本日は貴重なお話をありがとうございました。
OKIが開発した「Wellbit Sleep」は、行動変容理論に基づき、利用者の睡眠習慣を可視化しながら改善を促すアプリ。実験や研究を通して有効性が確認されており、睡眠習慣の改善や生産性の向上にも寄与する。現在は企業向けに提供されているが、今後は個人向けにも展開し、より多くの人の睡眠課題の解決を目指している。
商品説明
Wellbit Sleepは、利用者がLINEなどのスマートフォンアプリに日々の睡眠時刻や睡眠に関するアンケートを入力することで、パーソナライズされた行動アドバイスのメッセージを受け取ることができる睡眠習慣の改善を支援するクラウドサービスです。睡眠習慣の改善を通じて、従業員の生産性向上を実現します。
会社紹介

OKIは1881年、日本で最初の通信機器メーカーとして誕生しました。電話機製造という未知の領域に積極的にチャレンジした創業者の進取の精神を受け継ぐ企業理念のもと、さまざまな社会課題の解決に取り組んでいます。